次期社長の溺愛が凄すぎます!
「いいじゃないか。とてもよく似合っている。口調はいつもの麻衣子なのが不思議に思うくらいに」

「中身が変わるわけではありませんから。まぁ、そこそこおとなしいフリくらいはできますよ。てか、私がメイクすると、ケバくなりがちなのに、さすがはプロのメイクは違いますね」

綺麗なものを身に付けるとウキウキしてしまうのは、私だって女の端くれだからだ。

持っていたコートをソファーにかけ、藤宮さんの前に座った。

今日の彼は光沢のあるダークグレイのスーツ。白いドレスシャツにカフスボタン、黒のベストを中に着込んでいる。

ジャケットの胸ポケットには深い色合いの赤いハンカチ、似たような赤だけど微かにキラキラしてるネクタイに銀色のネクタイピンが見えた。

いや、藤宮さんがキラキラしてるのかな?

イケメンが洒落込むと、目に毒だ。

近づいてきたウェイターさんに紅茶をオーダーすると、また藤宮さんの方を向いて目が合った。

「綺麗だな」

「……お世辞を言っても、何もないですよ」

「いいよ。来てくれただけでも嬉しいから」

微笑むと、もっと目に毒。無表情でいいのに。

ううん。無表情でいたってイケメンには変わりないよね。
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