次期社長の溺愛が凄すぎます!
運ばれてきた紅茶に口をつけて、つくづくいい男だなって思う。

眺めているのは楽しい。でも、浮き足立ってばかりではいられない。

「祝賀会は17時からですよね。何か特別にすることはありますか?」

「俺の隣にいてくれるだけで十分嬉しい」

「端的でありがたい言葉ですが、それじゃ何もわかりません。私は何かの祝賀会に出席するのも初めてなんですから、ちゃんと教えていただかないと粗相しますよ」

ニヤニヤ笑いながら言うと、藤宮さんは途端に真面目な顔をした。

「麻衣子のことは俺が守る」

どこかのアニメかなぁ。

「ですから、精神論はどうでもいいので、藤宮さん。わかりやすくお願いします」

「……何もないはずだよ。会長の挨拶があって、他にレセプションもない。ああ、抽選会はあるかな。来賓向けだから俺はもらわないが」

「別にベタベタしなくてもいいわけですね」

ホッとしていたら、ものすごい珍妙な顔をしている彼に気がついた。

「何も言わなかったら、ベタベタしてくれるつもりだったのか?」

「お見合い相手の牽制でしょう? 乗ったからには悪女役やりますよ~。鉄板じゃないですか、素敵な王子様の隣には綺麗な女性がいて、王子様の好きな女の子に意地悪する役。まぁ、綺麗な女性が私ってのはともかく」

紅茶を飲みのみ、妄想を膨らませる。

「相手の女の子は、清楚で白っぽい服を着ていたら完璧ですね」

「やめてくれないか? それは俺が、その女性を好きだという前提があって成り立つ話だ」

心底嫌そうな顔に思わず笑ってしまう。

そんな軽いやり取りをしているうちに末松さんが迎えに来て、私たちは祝賀会の開場に向かった。









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