次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


目に入るのは白い壁に高い天井。ぶらがっているのはキラキラというか目がチカチカしそうなシャンデリア。

丸テーブルには真っ白なクロスが引かれて、食べ物、飲み物、スイーツにフルーツと、それは美しく盛られていた。

満員御礼ってわけではない。でも会場内は人が多くてちょっと疲れる。

床は深紅の絨毯が敷かれていて……まぁ、戦場には相応しいのかな。

チラチラと藤宮さんを盗み見ているお嬢さんたちがいる中で、積極的に話しかけてくる女の子たちもいた。

可愛いなぁと、隣で微笑みながら眺めていたら、無表情の藤宮さんに1分にも満たない短い時間で淘汰される。

「別に藤宮さん、冷たくしているわけでもないのに、見事に逃げ帰ってくれますね」

「返事はしているんだがな」

見ていると、話しかけてくる女性は綺麗か可愛いかのどちらかで、絶対に自分に自信ありますって子たちだろう。

……つまり、いつも賞賛され慣れている人。

そして藤宮さんと言えば、無表情がデフォルトの人。

彼女たちの“女性として自信あるんです”ってプライドが、無表情に淡々と返事をする人にズタボロにされていく。

話も続かないし、会話にもならないよね。

「私の時みたいに笑えばいいのに」

ポツリと呟くと、苦笑しながら見下ろされる。

「楽しくもないのに笑えないだろ」

間違いない。
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