次期社長の溺愛が凄すぎます!
それでも、コミュニケーションを円滑にするためには笑顔は必須じゃないかな。

「楽しくなくても普通は笑います。あなたは絶対に営業向きじゃないですよね」

「……どうしても必要な時は、愛想を振り撒く」

拗ねたように言われて首を傾げ……。

「やっぱりいたいた。藤宮部長!」

藤宮さんが役職名で呼ばれて振り返ると、原さんが満面の笑みで近づいてきた。

「こんばんは。やっぱり……?」

不思議そうにする彼に、原さんは私を眺めて目を輝かせる。

「きっと、斎藤さん連れてくるだろうと思ったんですよね~」

「……原さん、春から同じ役職なんですから、今回は僕が敬語を使うべきでしょう?」

「藤宮部長は本社の部長でしょう。と言うか、圭一に敬語使われるのは慣れてない」

どれたけ無礼者だったんだ、と、呆れて眺めていたら、原さんの後ろからちょこんと着物姿の女性が顔を覗かせた。

誰だろう。日本人形みたいで、とても綺麗で可愛らしい人だ。

「あなた、私に紹介してくださるんではないの?」

くいくいと原さんの袖を引き、目が合うとニッコリ微笑まれた。

「ああ。すまない。家内の美晴です。こちらは斎藤麻衣子さん。この春からは僕の部下だね」

原さんの奥さん? つまりは藤宮さんの叔母さん?
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