次期社長の溺愛が凄すぎます!
切り揃えられたおかっぱ頭を深く下げてから、彼女はゆっくりと起き上がる。

「初めまして。美晴と呼んでくださる? 私も麻衣子さんとお呼びしてもよいかしら」

笑顔が眩しい。お花がまわりに飛んでいそう!

「なにこの可愛らしい生き物」

「叔母はこう見えて45歳だ」

私の呟きを拾ったらしい藤宮さんが、わざわざ教えてくださった。

「ダメですよ藤宮さん。女性の年齢をバラしちゃ! 例えめちゃめちゃ若く見えても!」

いってても、30代の後半かなぁとか思ってたよ!

「事実だ。俺は現在31歳だし、君は27歳。叔父は48歳だし、父は56歳」

「誰も家族プロフィールを伺っていませんが」

「皆、平等に言っただけだ」

そんな平等いらない……思わず目を細めると、美晴さんが目を輝かせながら両手で頬を抑えている。

「恥ずかしがり屋の圭一さんが、女性とお話しされているなんて素敵だわ」

空耳かな、藤宮さんが恥ずかしがり屋とか言った?

この人を恥ずかしがり屋とか認定しちゃうと、世の中の一般男子みんなシャイになってしまうんじゃない?

どっちかと言ったら、藤宮さんは人の話を聞かない、マイウェイ独走の気障男でしょ。

驚く私に微妙な表情の原さん。もちろん藤宮さんは無表情……でもなく、ちょっとだけ困っている。

そうか、美晴さんはまわりにお花が飛んでいるのではなく、頭の中がお花畑で蝶々がヒラヒラしているのかな。
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