次期社長の溺愛が凄すぎます!
「叔母は、お嬢様育ちで少し非常識なんだ」

「それを普通に聞こえるような音量で伝えてくる、あなたも相当非常識です」

藤宮さんの言葉に思わず突っ込んだら、司会の人らしきアナウンスが流れて、藤宮重工の会長さんが金ピカの屏風が立てられた壇上に上ってくる。

あの人が藤宮さんのお祖父様かな。

綺麗に真っ白な白髪に、真っ白な口髭。紋付き袴を身に付けている人を見るのは、友達の結婚式以来だ。

まぁ、どちらにせよ本社の会長、滅多にお目にかかることもない、雲の上の人だ。

何だか可愛らしい好好爺って感じ。あまり身長は高くないのかな。藤宮さんはかなりの高身長だけど……。


「どうぞ。この後で乾杯だから」

そう言いながら、うっすら琥珀色をした飲み物が入っているグラスを藤宮さんは渡してくれる。

「藤宮さんて、身長は何センチですか?」

「俺は185……だったかな。麻衣子は?」

「165だったと思います。去年の健康診断では」

そんなことを小声でいっているうちに、会長が挨拶を締め括りだした。

「では、当社のますますの発展と、皆さんのご健勝を祈願致しまして、乾杯!」

会長がそう言ってグラスを掲げると、一斉に会場内から「乾杯」の声が上がる。
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