次期社長の溺愛が凄すぎます!
彼女はワインをガブガブ飲み飲み、隣の男性にしなだれかかるようにして腕を絡ませては、大きな声で笑っている。

綺麗な顔立ちをしているから、メイクも似合っていると言えば似合ってるけど、祝賀会としては、かなり浮いていた。

クレオパトラ風の青いアイシャドーに、真っ赤なルージュ、耳にはジャラジャラ金色のイヤリング、首もとには幾重にもかけられた宝石のネックレスに、腕には何故かドレスと同色のリボンを巻いていた。

一昔前のキャバ嬢か、マリーアントワネットをリスペクトしているのか、盛りに盛った髪型は……私の悪女感など、足元にも及ばない姿。

どちらかと言ったら、彼女こそラスボスな気がする。

固まってしまった社長を、哀れみのこもった目で見てしまいそう。

あの人を息子ちゃんの嫁ちゃんに、なんて考えているとすれば、かなり社長どうかしてる気さえする。

ゆっくりと振り返った社長は私を見て、それから藤宮さんを見て、咳払いした。

「私が見た写真は、もっと清楚な女性だったんだ。交遊関係も至ってまともで、どういうことか、確認してから紹介する」

言い訳するように言ってから、社長はスタスタと離れていった。

その途端、握っていた手が、少しだけ緩んだのを感じて彼を見上げた。

藤宮さん、ホッとしたのかな。去っていった社長の後ろ姿を見つめている。

「お疲れ様です」

声をかけると、視線が私に向けられ、そして、晴れやかな笑顔が返ってきた。
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