次期社長の溺愛が凄すぎます!
考えながら着替え終えて、試着室を出ると、すでにスーツ姿の藤宮さんが立っていた。

ダークグレーに合わせたライトグレーのネクタイは、光沢があって銀色にも見える。

身長が高いけど細マッチョで、バランスの良さそうな体格だからか、スーツはめちゃめちゃ似合うなぁ。

目が合うと、瞳の奥に暖かみが灯ってやわらかく微笑まれた。

「綺麗だ。君は何でも似合うな」

「何でもは言い過ぎです。甘い系の女の子チックな服は、壊滅的に似合いませんし」

可愛いげのないことを言うと、藤宮さんは気にしたようすもなくあっさり頷く。

「ああ、プレゼントの包装みたいな洋服か」

一瞬だけ、色とりどりの可愛らしいリボンが使われたプレゼント箱を思い浮かべて吹き出した。

うんうん、全く似合わないね。

「斎藤様、よろしければこちらをご使用になられませんか?」

染谷さんがプラスチックのパレットのようなものを差し出してきたから見ると、ルージュのサンプルだった。

「ありがとうございます。黒だとやっぱり顔色悪く見えますよね~」

「ナチュラルメイクも可愛らしいですよ。こちらのコーラルピンクなどいかがで……」

ニコニコとサンプルを持っている染谷さんが、私の顔を見てキョトンとした。

“可愛らしい”なんて、女の人に言われて、何て言うかめちゃめちゃ恥ずかしい!

ドカドカと体温が顔に集まっていく。
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