次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


「あなたって人は、私の言葉をちゃんと聞いていますか?」

「何がだ?」

涼しい顔で優雅に食事をする藤宮さんを見つめていたら、怒るのも馬鹿らしいというか。


……この人は、きっとやりたいようにやるんだろうなぁ。

食事を楽しむ皆様を巻き込んでまで騒ぐわけにもいかないし、目の前のフランス料理を消化するしかない。

ふと視線を移すと、窓の外は夕闇に近い紫色の空にシルエットのようなビル郡。

もう少ししたら七色の橋が見えてくるらしい。

船内はモダンな内装で、着替えを強要してきた意味はわかった。

うん。いかにもご近所に行きます、的な格好では来たくない場所だよね。わかる。

あの格好のままなら、私が恥ずかしがるって気にしてくれたんだろう。


でも、そういう問題じゃないんだよ!

普通、恋人でもなんでもない女を相手に、クルーズ予約する男がどこにいんのよ!

そりゃー私にはデートの経験値はほぼないけど、こんなことは非常識だって理解できるくらいの年齢になっている。

そもそも、じゃんじゃんお金を使われてるみたいで居心地が悪い。

何かお返しを考えても、私にはこんな非常識なプランを立てる経済力もないし。

やっぱり貯金を切り崩して、何か考えないといけないのかな。
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