次期社長の溺愛が凄すぎます!
思わず突っ込んでしまうと、藤宮さんは小さく吹き出した。

楽しんでくれてるのは何よりだけど、楽しまれてる対象としては疑問符だらけだ。

「私なんかの何が面白くて構うんですか」

「自分のことを“私なんか”と、軽んじて言わない方がいい。君に関わる人の感情を全て否定することになる。もちろん、君に惚れている俺も」

笑顔が消えすぅっと鋭くなった視線と、突き刺さる言葉にハッとした。

確かに、自分を軽くみると言うことは、私に関わる人も巻き込みかねないけど……。

今のって、叱られた気がする。

「そうだな。麻衣子は俺のまわりにいないタイプであることは確かだが……」

そう言って、藤宮さんは言葉を濁す。さっきから濁してばかりだ。

「言いたいことがあるなら、言ったらどうです。あなたはいつも言いたい放題じゃないですか」

「そうでもないんだが……それは後で話すことにする。デザートを食べたら、デッキに出てみないか?」

今は言いたくないんだろうか。


それからは、食事を進めながらシンガポールの観光名所について話を振る。

マーライオンの写真を撮ってきてくださいとお願いしたら「ベタだな」って、真顔で言われてムッとした。

どうせベタですよ~!









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