次期社長の溺愛が凄すぎます!
思い起こしても、あの時のこの人、相当悪辣な態度だったような気がする。

いや。ような気がするんじゃなくて、間違いなく“俺様”目線だった。

ちょっと改まったのは、私が文句を言ってからだよね。

「麻衣子を前にした時は、自分のことしか考えていなかった。俺は……女性と関わるのが昔から得意ではないし」

「ああ。なんとなくわかります。女慣れしてる男の人って、もっと誘い方、上手ですもん」

頷くと、唇を真一文字に引き締められた。

あ。ムッとしてる? 言い訳に口を挟んじゃいけないのかな。

「麻衣子は誘い方がうまいのか?」

「私はそもそも誘いません。誘ったとしても、当日の朝にいきなり誘うのってどうなんですかってなりますよ」

「断ればいいじゃないか」

「んんん? どのお口が言ってますか? 私に断らせなかったのはどなた様ですか?」

ふいっと視線が外されると、ガキっぽいなぁって笑っちゃうんだけどね。

「明日からしばらくシンガポールに行くんだ」

「そうなんですか? 先日はニューヨークでしたよね。大企業は出張もグローバル」

何の気なしに相づちを打ちながら、料理を食べ終える。

「だから、麻衣子を補充しようと思った」

「私は品物ではありませんっ!」
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