私の運命、変えてみせます!
その言葉と共に、ノワールに言われた“綺麗だ”という言葉が頭に蘇る。
私は、私が思うよりも何かを秘めているのかもしれない。
人からの偏見で自分という像を塗り固めていたとしたら、今まで見せていた私は本当の自分じゃない。
そうだとしたら――
「ねえ、ノワール。私……もう一つだけ願いがあるの」
『なんでしょう?』
人に合わせて動くんじゃなくて、私は本当の私を見てもらいたい。
飽きられたのなら、思い返させてやればいい。
それで今回の出来事を全部なかったことにしてやりたい。
「私……彼を見返したい。他の女に転がったけど、私がどれだけいい女だったかを思い知らせてやりたい」
なんて自惚れた醜い願いなんだろうと思いながらも、ノワールだったら嫌とは言わないそう信じていた。
醜い私でも、この人の考えは私よりも斜め上をいく変人だ。
ここで両手を離されて地上へ真っ逆さまなんて展開もなくはないが、ノワールはそんなことしない。
「醜い願いかもしれない。でも、嫌いだったグレーのワンピースがこんなにも私に似合うなんて知らなかった。私、もう自分に我慢したくないの。……なんて、こんな願い叶えられない?」
言ってしまったと思いながらも、もう後には引けないことを承知の上で本音を吐き出した。