私の運命、変えてみせます!


そっと抱きしめるのをやめて、私の顔を覗き込むノワールはいつもに比べて笑顔で溢れている。

その笑顔に答えるように私も笑い返した。


『この戦いが終わったら、祝杯をあげましょうか』

「いいわね。もう少しこの世界も観光したいから、帰ってきたら思う存分にお願いね」


そう言って親指を立てると、ノワールが声を上げて笑い出す。

それに釣られて私も笑顔の花を咲かせた。

そっと香る花冠の香りが、私の背中を押してくれているようなそんな気がした。


『さあ、お嬢さん。空の旅がいい?時空の旅がいい?』

「気分が悪くならない方で」

『どっちしろ酔うと思うので――』


二択の答えを答える前にグイッと抱き寄せられまたもやノワールと密着し、ノワールは踵をコンコンと叩いた。

これから起こる具合の悪さを予想しながら、そっとノワールに身を預けた。

戦いの時が目の前に来ていると実感すると、少しだけ胸が踊った。

心強い味方が目の前にいると思うと、少しだけ空の旅を我慢してやろうとそう思えた。





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