雨上がり、空を見上げた。
そのまま眠りについてしまったのか目が覚めた時には外は暗くなっていて電気もつけていなかったので部屋中真っ暗だった。
そんな真っ暗な部屋で携帯の液晶画面がついて誰かからの着信を知らせていた。
少し驚いて画面を確認してみるとそれは先輩からの着信だった。
『?!?!』
声にならない声が出て慌てて座り直し、部屋の電気も付けず電話に出た。
『もしもし?』と、電話越しに聴こえるずっと聞きたかった声。
低くて優しくて安心する、
そんな先輩の声が好きだった。
『もしもーし、どうしたんですか突然』
と、緊張していたのを悟られないように平然を装った。
『いや、特にどうって事は無いんだけどさ、何してるかなーって思ってさ。』
『なんにもしてませんよ』
朝のメッセージの事を思い出して少し間を開けたせいかしゃがれた声で答えた。
『なんかあった?』
『いやなにも。旅行楽しんでますね』
次は少し嫌味っぽく言ってしまった
まったく素直じゃない自分にとことん嫌気がさす。
すると先輩は笑いながら
『ああ、あれね、家族旅行だよ。妹に撮ってもらったんだ』
と言った
今まで変な勘違いをしていた自分がとことん馬鹿馬鹿しく思えた。
と同時にどこか安心している自分がいた。