雨上がり、空を見上げた。
ぼーっと先輩を眺めていると一気に顔を近付けてきて、さっきまで見とれていた綺麗な顔が至近距離にあることに気が付く。
『わ!!!』
慌てる私をよそに先輩はニコニコ笑っている。
『虹花ちゃん、本当に可愛い。』
不意にそんな事を言われ私は耳まで真っ赤になって俯いてしまった。
『永瀬先輩こそ。似合ってます、すごく。』
と伝えると照れたように笑っていた。
私はそんな会話が嬉しかった。
そこから私達は屋台を回ってかき氷や焼きそばやイカ焼きを食べたり、金魚すくいに挑戦するもののお互い一匹も取れずに笑い合ったり、幸せと言うには十分すぎる時間を過ごした。
それから歩きながら話していると突然、
『ねえこっち来て』と意地悪そうに笑う先輩に手をひかれ後をついて行った。
そこから5分くらいして神社の一番上まで登ってきた。もちろん手は繋がれたままだった。
下の方は花火を見るお客さんで溢れていたのにここは先輩と私しかいない。
まるで世界にふたりだけのようだった。