エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
すると、先生は小さく笑みを浮かべたまま、静かに言った。

「きみの思いやりや、頑張り屋なところ。そして、真っ直ぐなところ」

「でもそういう方なら、私じゃなくても……。他にもいらっしゃると思うんですが……」

自信なく応えると、彼はゆっくり首を横に振った。

「いないよ。きみほど、俺の心を掴んでいる女性は……」

「先生……」

私が、先生の心を掴んでる……? それはとても嬉しくて、心が温かくなっていく言葉。

胸が熱くなるのを感じていると、彼のキスが私の唇を塞いだ。

「ん……」

先生は濃厚なキスをしながら、私の背中を撫でる。服の上からとはいえ、彼の大きな手を感じて体が熱くなっていた──。


「それでは先生、ありがとうございました。お仕事を頑張ってください」

車で駅まで送ってもらい、ロータリーに停車したところで、先生に挨拶をする。

思いがけないお泊りだったけれど、とても名残り惜しく感じてしまった。また先生の多忙な日々が始まるのだから。

いつでも連絡してと言ってもらえたけれど、やっぱり遠慮がある。メールくらいなら、ただ送るだけ……もアリかなと思うけれど。

でも、返信しないといけないと、気を遣わせたくもない。そんなことを考えると、こうやって会える時間が、とても貴重なものに感じる。

< 108 / 248 >

この作品をシェア

pagetop