エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「せ、先生ってば」

いきなり抱き上げられて、驚きとともにドキドキする。戸惑う私に、先生は優しく微笑んだ。

「きみに、もっと触れたい。そろそろ、ベッドに連れていくから」

「はい……」

先生は私から鍵を取ると、それをバッグの上へ置いた。そしてそのまま寝室へ私を連れていき、ベッドへ下ろすと唇を塞ぐ。

「ふ……。ん……」

力強くて、どこか激しいキスを受けながら、体じゅうが熱くなってくる。彼の手が服の下へ伸びてきて、下着のホックが外された。

「久美……」

「せ、せんせ……い」

思わず身をよじるほどに、彼の愛撫に反応してしまう。理性が飛びそうになるなかで、ふいに自分の左手が目に入った。

薬指には、さっき先生から貰った指輪が光っている。こんな幸せが待っているなんて、少し前の私には想像もできなかった。

今でも、先生と恋人同士になっているのが信じられないくらいだけど……。

失いたくないな……。この幸せを。先生を、失いたくない──。
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