続*もう一度君にキスしたかった
「どうだろ。その時その時、考えていくしかないよな。相手はなんて言ってんの? 仕事は辞めて欲しいって?」
「はっきりとは言わないけど、そうじゃないかなって。私が仕事に夢中になり過ぎて、タイミングに困ってる感じで」
「ふーん……もしかして結構ヘタレ?」
「はっ? 違いますよ! ヘタレとかじゃないです!」
にや、と流し目で笑われて、睨みながら反論した。
「仕事と結婚で悩まれて言い出せないのってヘタレじゃねえ?」
「違いますっ。たまに、いや、結構、強引なとことかもあるし、優しいけど。仕事はデキるし頼れる人だし、それに」
「何、俺相談乗った上に惚気られてんの?」
「惚気じゃなくってホントのことです。間宮さんがヘタレとか言うから」
言い返せば言い返すほど、間宮さんは面白いものを見ているような顔で笑っていて、私はもしや、揶揄われているのだろうか。
むっとして、もうこれ以上は言い返すまいと口を真一文字に結ぶ。
すると彼はひょいっと肩を竦めて言った。
「わかったわかった。ヘタレじゃないなら」
「違いますって」
「そんだけ、大事にされてるってことじゃないの。吉住さんから大事なもの何ひとつ、奪えないくらいに」