続*もう一度君にキスしたかった
「相手って同業者?」

「そうですよ。同じ会社で」

「あー、じゃあ忙しい時期とかよくわかってるよな。仕事辞めて欲しいってのもわかるな。お互い忙殺されてたらほんとすれ違うしな」

「です。でも、彼は上の立場になったので、忙しいのは忙しいけど繁忙期は多分私の方が忙しくなるかなあ」


店に直結した仕事をしている分、繁忙期の影響が大きいのはやっぱりマネージャーだ。
その時期はどうしても、朝比奈さんに迷惑をかけてしまいそうだ。


時期にやってくる、一年で最大の繁忙期クリスマス商戦を思い憂鬱になっていると、更に間宮さんから質問が続いた。


「て、ことは上司?」

「そうです。以前は彼もマネージャーでしたけど」

「あー、もしかして」


思い当たる節があるような物言いに、隣を見上げれば間宮さんの目は私を見てはいなかった。


「やっぱそうだ。わかったわかった、知ってるわ俺。……怖い男捕まえたね」



語尾はボソッと半笑いだった。

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