続*もう一度君にキスしたかった
間宮さんがスマホを確認して、私と朝比奈さんに向かって「悪い」と言うように片手を上げた。
少し身体を背けて、スマホを耳に当てている。


入院中の奥様からだろうか?


「春妃? どうした? あー、翔と今ショッピングモールに来てて遊ばせてる。え? ちょっと待て聞こえねえ」


周囲がこれだけ騒がしければ、スマホでは話しづらいのだろう。


「良かったらどうぞ。翔くんは私見てますから」


間宮さんに向かってそう言うと、私はキッズコーナーの近くにある出入口を指差した。
すぐそこの出入口付近なら、話しやすいだろうしそこからでも若干遠いが私達や翔くんの様子も見えるはずだ。


「悪い。すぐ戻るから」


間宮さんは少し迷ったようではあったけど、長い足を急がせて人並みをすり抜けて行った。


「奥様、今ふたり目で入院中なんだそうです」

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