続*もう一度君にキスしたかった


「ああ。それで彼がひとりで上の子を見てるのか」

「そういうことみたいです。あまり詳しくは聞いてないけど」

「それで、他に何の話を?」


責任を持って見ていなければ、と目線はずっと翔くんを追いながらの会話だったのだけど。
突然、朝比奈さんが寄り添うように近付いて腰に手を回して来たので、ちらりとだけ視線を移した。


とても、優しく微笑んではいるのだが。


「顔が真っ赤になるような、どんな話をしていたのかなと思って」


笑ってない、目が全く笑ってない。


「えっ? 私? 赤いですか?」


ぱっと、頬に手を当ててみたが、今は然程暑くもない。


「今のことじゃないよ、僕が来た時遠目に見ても赤かった」

「そー、ですか? ちょっとここ熱気で暑いからかも?」

「走り回ってる子供たちは暑いかもしれないけどね」


惚けてみたけど誤魔化されてくれそうにない。
だけど、朝比奈さんの話になって、大事にされてるなあと実感したからとも言い難い。


よその人に何を喋ってるのかと思われそうだ。

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