続*もう一度君にキスしたかった
「パパ? お電話?」
「そう。だからもうちょっと待ってようね」
それでもやっぱり不安なようで、ぎゅっと私の裾を握ったままで周囲をきょろきょろと見渡していた。
「ほら、あそこにパパがいるから大丈夫」
ここからでも間宮さんの姿は見える。
が、少し遠いし翔くんには探しづらいだろうか。
「連れて行こうか。彼もそう長話はしないだろうし」
朝比奈さんも腰を屈め、翔くんの顔を覗き込んだ、その途端だった。
びくっ、と翔くんの手が震えたかと思うと、みるみるうちに涙目になり。
「うっ……わああああん! パパー!」
「かっ、翔くんっ?」
ギャン泣きが始まった。
抱き着いてくるので、抱っこしながら翔くんと朝比奈さんを交互に見る。
朝比奈さんは、眉尻を下げて身体を起こすと、一歩後ずさりした。
「……しまった」
「えっ?」
「忘れてた。僕、どういうわけか子供に好かれないというか……大抵泣かれるんだよ」