続*もう一度君にキスしたかった
ロビーで待っていてくれた彼は、眩しいくらいに綺麗でかっこよくて、つくづく私にはもったいない人だと思う。
「お疲れ様、真帆」
「ごめんなさい、遅くなって」
そんな人が、私の名を呼び、蕩けるような笑顔を向けてくれる。
「来てくれただけで嬉しい」
首を傾げた彼の表情は、今日はとびきり甘かった。
「由基さんとの約束に来ないわけないですよ」
「そう? 意識してるように見えたから」
するりと片腕が腰に絡み、歩くようにエスコートされる。
彼は、私がこの日特別な日になるのじゃないかと予測していたことに気がついていたらしい。
そして多分、予測どおりなのだと彼の横顔を見上げた。
穏やかそうないつもとかわらないように見えても、少し彼も緊急しているのだと伝わったからだ。