続*もう一度君にキスしたかった
タクシーの中で、もうすぐ着きますとメッセージを入れたら、すぐに既読が着いて返信があった。
『待ってる』
その短い一言に、また胸が苦しいくらいにきゅんと鳴る。
予感がある。
私のエリアは、今期の売上予算を達成した。
そのことは私と彼との間では話題に上らなかったけれど、当然彼も知っているはずだ。
そして、昨年度の売上もあり高めの設定となっていた今期の予算達成が、私がひとつの目標と定めていたことにも気づいてないはずはない。
きっと、そろそろだ。
そう思っていたら、バレンタインチョコのお返しにと誘われた食事が、ペニンシュラのレストランだった。
バッグからファンデーションのコンパクトを取り出して、鏡を覗く。
軽く肌を整えて、髪を手で撫で付けた。