続*もう一度君にキスしたかった


「私ひとりじゃ、とてもできなかったです」

「仕事はそういうものだよ。ひとりでするものじゃない」


確かにその通りだ、と思う。


マネージャーとはそういう仕事だ。
店舗、業者他、様々な人との繋がり、パイプ役も担っている。


彼の力が大きいと感じることに違いはないけれど、元々が私ひとりのものではないのだ。
そう思うと、素直にお祝いの言葉を受けとめることができた。


「……うん。私もお店の子たちも、皆すごく、頑張りました」

「真帆もね」

「うん」


そう素直に認めたら、きっと彼は切り出すだろうとわかっていて言葉にした。
してしまえば、ふっと力の抜けた笑顔が浮かんだ。



ディナーもシャンパンもとても美味しかった。
窓から見えるスカイツリーのイルミネーションが綺麗で、どれだけ見ていても飽きなくて、彼は私ばかりを見ていてなんだかそれが照れくさくて恥ずかしかった。


ディナーの後、バーでまた少し飲んで、それから客室に向かうエレベーターに乗る。


「少し酔った?」

「うん、ちょっと飲み過ぎたかも……ごめんなさい」


足元が少しふわふわして、頼りなく感じたのか彼が私の手を取り自分の腕に絡ませた。
支えになってもらいながら歩き、辿り着いた客室はとても広くて窓も大きい。


「わ、すごい」


キングサイズのベッドに、ソファセット、窓際には小さなテーブルと椅子が二客揃えてある。
ふらふらっと歩いて窓際まで辿り着くと、窓ガラスに手を添える。


さっきのレストランとはまた違った角度の景色が見えた。

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