続*もう一度君にキスしたかった



その日の夜と木曜は、ちゃんと連絡があった。
朝比奈さんは、出張中は晩御飯を済ませてホテルの部屋に戻ってから大抵連絡をくれる。


時間帯は遅かったり早かったり、色々だ。
なるべく、待つようにしているのだけど、明日は朝比奈さんが帰ってくる日だと思ったら、金曜はちょっと、待ちきれなかった。


食材が切れていたし、何か買って帰ろうかと思った時に、明日の分も買い足しておこうかと思いついた。
朝比奈さんは、明日何時ごろ帰ってくるんだろう?


朝比奈さんのマンションで待ってた方がいいかな。
帰るのは昼か、それとも夜になるのか。


帰り道、明日のことを考えれば気分は弾む、そのままに彼の番号を発信した。


暫く呼び出し音が続く。
もしかしたら、まだ仕事中だったかもしれない。


諦めて切ろうとした、そのギリギリで通話に切り替わった。


「あ、朝比奈さん! ごめんなさい、まだ仕事中だった?」


邪魔してしまっただろうかと申し訳なく思ったけれど、それでも繋がったことが嬉しくて、つい浮かれた声だったかもしれない。


「朝比奈さん?」


彼からの反応がなくて、嫌な予感が心臓を早めた。


向こうから聞こえてくるざわめきで、どうやら彼はひとりではないらしいと言うことが伝わってくる。
そして少し遠くから、何か慌てた男の人の声が聞こえた。


『木藤さん!』


は、と、吐息のような音を聞いた気がする。
そこでプツ、と通話が途切れてしまった。

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