続*もう一度君にキスしたかった
「スミマセン! 俺がちゃんと説明出来ていれば」
「いえ、私が慌ててしまって、ろくに聞かずに来てしまったので……」
笹木さんは悪くない。
それにちゃんと聞いてたとしたって、すぐに駆けつけたかったことは変わらない。
ここに着くまで気が気ではなかったが、私に連絡するようにだとか、人に頼めるくらいなのだからしっかりはしているようだと、少しばかりの安心を得る。
笹木さんの車で病院に向かう途中、事故のことを詳しく教えてもらった。
「あの、もしかしたら事故直後だったと思うんですけど、朝比奈さんに電話をかけたらすぐに切れてしまって。あれ、笹木さんですか?」
「いえ、俺じゃないですね。事故直後なら、木藤さんが持ってたんじゃないかな、朝比奈さんのスーツから落ちたのを木藤さんが拾ってたから」
「そうですか……」
やっぱりそうだったか、と納得した。
「あ、木藤さんていうのは部署は違いますけど朝比奈さんの先輩に当たる方で」
「はい、聞いてます」
「……その、今も朝比奈さんに付き添ってますけど、木藤さんを庇って怪我をされたので、責任を感じてのことだと」
とても言いづらそうにしどろもどろな話し方が、余計に意味ありげに聞こえた。