続*もう一度君にキスしたかった
「病院食は明日朝からだし、何も食べてないでしょ。コンビニでだけど適当に買ってあるから、食べて。良かったら彼女も一緒に」
がさ、とコンビニの袋が置かれた音がする。
振り向いた先に居た女性に、ちょっとした衝撃を受けた。
『色ボケ紳士』だとか、送ってきていたメッセージや朝比奈さんから聞いたイメージで、勝手に倉野さんタイプの、すらりと背が高くて仕事の出来そうなキャリアな女性を想像していた。
だけどその女性は、もしかしたら私よりも少し小さいかもしれない。美人というより可愛い感じの、女の私から見ても守りたくなるような雰囲気を持っている人だった。
私と目が合うと、にこりと微笑み物怖じする様子もない。
「す、すみません、私、自己紹介もせず」
「いいのいいの、私はもう帰るから。ごめんね、私が横を歩いてたから朝比奈くん逃げるに逃げられなかったのよ。詳しい状況は後は朝比奈くんから聞いて?」
悪かったわね、と。
口調は確かに、サバサバとしたもので見た目とのギャップが色っぽい人だった。