続*もう一度君にキスしたかった

私にしか、頼めない。


そこまで言ってくれたことに最初驚いて、それからほうっと胸が温かくなった。


「私も……良かったすぐに駆け付けて。顔見れて良かった」


顔を見て話が出来たからこそ、少し安心も出来るけれど、そうでなければいくら人伝に大丈夫だと言われても、とても落ち着けなかった。
頭を撫でてくれた手を捕まえて、掌に頬ずりをする。


「明日、朝一で来ます」

「ありがとう」


どちらからともなく、唇を触れ合わせ、明日の約束をした。

病室を出て、急いで笹木さんの待っているロビーに戻ると、木藤さんは電車がまだあるから平気だとひとりで帰ってしまった後だった。


なんとなく、避けられたような気がした。


ろくな挨拶も出来なかったままだったのが悔やまれたが、なんとなくまた会う予感がある。
からりとした口調ではあったけれど、朝比奈さんの怪我に責任を感じているのは伝わってきたから。

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