続*もう一度君にキスしたかった
木藤さんが病院を訪ねてきたのは、昼過ぎのことだった。


医師に退院したらすぐに関東に帰ることを言うと、念のためもう一泊と言われてしまい朝比奈さんの退院は更に翌日となってしまったが、あくまで念のためであり。


検査の結果も、異常は見られなかったということで、ほっと一安心でき、売店に飲み物を買いに行こうと廊下を歩いていて、ばったりと出くわしたのだ。


「あ」

「あ」


お互い目が合って、瞬きしたその間合いで、互いに微妙な感情を持っていることを認識し合えた気がする。


けれど次の瞬間、彼女はぱっと明るく笑って歩み寄って来た。


「こんにちは。朝比奈くん、具合どう?」


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