釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
その晩、私は5000字近い謝罪文を何度かに分けて、社長へと泣きながら送信した。
すると、直ぐにメールの返信がきたのだ。
私が謝罪文を送ってから僅か5分。
あまりにも早い返信に
「お前生意気。クビ」の言葉が脳裏をよぎり、泣きながら、指先をガクガク震わせて受信ボックスをひらいた。
:なんだ。折角初めて頼ってくれたと思って嬉しかったのに。
誤送信というのは、残念です。
そんなに謝らないで。
僕は頼ってくれて嬉しかったから。
なんて・・・・
なんて
優しいんだろう!!
最早、社長は優しさの塊だとしか思えない。
こんな部下の失態を罵るわけでもなく叱咤するわけでもなく
優しく受け止めてくれる器の大きさに感動しないわけがない。
どんどん
勝手に社長のイメージが膨らんでいく。
きっと
社長はお城のような豪邸に、たくさんの使用人(使用人の全てが社長を心から尊敬し、憧れている。)
毛並みの綺麗な大型犬。
美人薄命のような言葉が似合う美人な奥様(ブロンドヘアーの外人又はハーフ。)
子供は10人くらい。(多い?)でも子供たちはみんな容姿端麗で賢く素直な子供達。
花と幸せに囲まれた王子のような人に違いない!!
ありがとうございます!!
泣きながら感謝のメールを送った。
その頃
「あまり、特定の社員を特別視するのはどうかと思いますよ?社長・・・」
運転をしながら、後部座席に座る社長に釘をさすように注意をする緒形。
「だって可愛いんだからしょうがないよね。
決めたんだ。
俺はあの子と結婚するって」
「バカを言うのも止めてください。
それを聞いてあなたのお父様が賛成すると本気で思っています?
社長・・・いえ、外に出れば・・・〃若〃でしたね。」
秘書兼、執事の緒形は、呆れながら溜め息をついた。