社長は今日も私にだけ意地悪。

その後、司会のアナウンサーの口から、long riverは今日は歌わないということが報告された。
当然、会場からは大ブーイングが巻き起こる。テレビの前にいる視聴者達も同じ反応であることが容易く想像出来る。
そして……long riverの代わりに歌うのがRED searchであることも発表されたけれど……想像通り、いや想像以上に観客は冷めていた。


それでも、予定通りスタンバイの為にステージ裏に集まったRED searchに私は頭を下げる。


「本当に申し訳ありません! 私が不甲斐ないばかりに、皆さんにこんな役回りを引き受けさせてしまって……!」

希望と夢が詰まった、未来への一歩となるはずだったこのステージ。
それが、バッシングを前提に歌わなければいけないという悪夢に変わってしまった。

これから始まる演奏を聴いてRED searchのファンになってくれる人はきっと殆どいない。
long riverといやが応にも比べられ、レベルの低いインディーズバンドと世間に覚えられてしまう可能性もある。


四人の顔を見るのが怖くて、顔が上げられない。


「マネージャー」


木崎さんの低い声が頭上から降ってきて、ビク、と身体が震える。
すると……。


「何を謝られてるのかわからねえんだけど」


……え?
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