社長は今日も私にだけ意地悪。
もしかして不安にさせているのだろうか。それなら、このステージについてきちんと説明をしないといけない。

「安心して下さい! 怪しい仕事じゃありません! 皆さんに出演していただくステージはこちらです!」

私は手に持っていたクリアファイルから一枚のチラシを取り出し、四人の前に差し出す。


四人がそのチラシを見る為に一歩私に近付く。
そのチラシを見た瞬間、彼等の表情は更に引きつった。


「あのう、どうされました……?」

「市民お花見祭り……?」

ボソッと声を発したのは木崎さんだった。


「はい、そうです。今週の土日に市役所前の公園で行う春のお祭りです」

市民の交流促進を目的としたお祭りで、私が子供の頃から毎年四月の第一土曜日と第一日曜日に行なわれている。
ここからだと会場まで車で三十分位。車は私が運転出来るし、大きめの社用車を借りられれば機材も詰め込める。

そのお祭りでは、縁日や商店街からの物販販売、パレード等があるのと同時に、様々な催しを行う為のステージが用意される。
短い時間だけど、私達もそのステージを借りられることになったという訳だ。


「聞きたいのはそこじゃねえよ」

「え?」

「何だこれ。他のステージの内容。アクションショーとか、小学生の盆踊り発表会とか書いてあるんだけど」

「保育園児のお歌の披露会もあるみたいですよ!」

「馬鹿にしてんのか!」

木崎さんのよく通る声で怒鳴られてしまう。
< 27 / 154 >

この作品をシェア

pagetop