キミはずっと、かけがえない人



「俺の望みは、最初から亜依と結婚することだけ。合間にフラフラしたことはなかったことには出来ないけど、お互い様ってことで。俺は、亜依だけだから。俺と結婚して下さい」



彼にしては、珍しく早口に言う。

平然と言っているように見えて、実は緊張していたのだろうか。



「まぁ、たとえ嫌だと言われても、今度は逃がすつもりはないけど」



にっこり笑って言われる。

ここまで用意周到にしているのだから、おそらく見合いの時から逃がすつもりはなかったんだと思う。

自惚れにも思えるけど、思い返せばそう見える。

私は、愛されてるんだって思える。



「本当に、他には誰もいないんだよね?」

「じいさんに認めてもらったのが3年前。その時点で、女は全て切った。じいさんも見合い話しをやめた。だから、この時からいない。今、誰が来ようと、亜依以外欲しくない」

「……それ以上、言わなくていいから」

「何で?」

「……恥ずかしいんだって」




< 169 / 210 >

この作品をシェア

pagetop