キミはずっと、かけがえない人
リビングから飛び出し、部屋という部屋のドアを片っ端から開けていく。
「……こういうやり方ってあるの?」
一つの部屋の前で、独り言のように呟く。
目の前にある光景が信じられなくて、座り込んでうなだれるしかない。
「じいさんは、こうと決めたらやり遂げる人だからな」
いつの間にか、私の後ろに立っていた彼がそう言う。
「イヤ、分かっているなら止めてよ」
「無理だね。だいたい、あそこまで言える人もいないよ」
「同じ人間でしょ?嫌なものは嫌って言ってよ」
「そうなんだけど、もう体質なんだろうね。逆らわないって染み付いている」
「……アンタまで?」
「俺だって、湖陵で働いているんだからな。会長には逆らえないさ」
「湖陵で働いているの?」
「……あれから14年だっけ?色々変わる。
少し話そうか。亜依も逃げられないんだから」