キミはずっと、かけがえない人
不意に“亜依”と呼ばれて、ドキッとしてしまった。
そう呼ばれるのは、実に14年ぶりだから。
でも、ドキッとしている場合じゃない。
彼は、不穏なことを口にしている。
「逃げられないって……」
「この状況見て分かるだろ。亜依が住んでいたアパートは、もう解約されているよ」
そう、目の前の部屋には、私の私物が全て置いてあった。
洋服に鞄に帽子に下着まで。
そして、何より大好きな漫画たち。
捨てられなくて良かったーとも思ったが、それどころではない。
家にどうやって入ったんだ、とかそういうレベルの話しじゃない。
本当に、強行に出ている。
彼の言う通り、私は逃げ場を失っている。
まさか、ここまでされるとは思わなかった。
「私……怒らせた?」
少しだけ不安になった。
自分が望んでいたことだったのに、ここまで強行されるとこの先何が起こるか分からない。