キミはずっと、かけがえない人
「イヤイヤ。寄ってくるヤツいないから。会社の人だって、全員既婚者だし」
「今流行りの不倫があるけど」
「そんなの絶対嫌だから。不倫なんてして、何が楽しいの」
「確かにな。俺だって嫌だな。1人に決めたら、そいつだけいればいいと思うけど」
そんなことを言っているけど、元々女にフラフラしていたんだから、あまり説得力はないと思うけど。
「そんなことより、買ってきたから食べよう。歩ける?」
「あ、ありがとう。歩けるから大丈夫」
そうは言ったものの、少し足が震えているし、腰がだるい。
結局、彼に手を引かれながらリビングへ行った。
そこで買ってきてもらったものを食べていると、インターホンが鳴る。
ここに来る客人はいないはずと2人で顔を見合わせると、今度はガチャガチャと鍵が動いている。
そして、カチャンとなぜか鍵が開いた。
驚いたままリビングの扉を見ていると、普通に人が入ってきた。
「じいさん」