キミはずっと、かけがえない人



冷静に彼が言うけど、こうやって勝手に入ってくるんだ。

そもそも、何で人の家の鍵を持っているんだ。

まぁ、このマンション自体、この人が決めたものだろうけど。

だからって、おかしいよね。

何しに来たのかは知らないけど、この人と逢うのは見合いの時以来だ。



「仲良さそうにやっているじゃないか」



私たちを見ながら、嬉しそうに笑っている。

別に、仲良くしている訳じゃないけど。



「邪魔者はこちらで排除するから、亜依さんは気にすることない」



顔は笑っているけど、目が笑っていない。

それを見て、背筋がゾッとした。



「ところでじいさん、何しに来たんだ?」



そういえば、彼とじいさまが話しているところを初めて見る。

見合いの時、彼は一切話さなかったから。



「そうそう。亜依さんが湖陵に入るって話しを進めようと思ってな」




< 96 / 210 >

この作品をシェア

pagetop