キミはずっと、かけがえない人
冷静に彼が言うけど、こうやって勝手に入ってくるんだ。
そもそも、何で人の家の鍵を持っているんだ。
まぁ、このマンション自体、この人が決めたものだろうけど。
だからって、おかしいよね。
何しに来たのかは知らないけど、この人と逢うのは見合いの時以来だ。
「仲良さそうにやっているじゃないか」
私たちを見ながら、嬉しそうに笑っている。
別に、仲良くしている訳じゃないけど。
「邪魔者はこちらで排除するから、亜依さんは気にすることない」
顔は笑っているけど、目が笑っていない。
それを見て、背筋がゾッとした。
「ところでじいさん、何しに来たんだ?」
そういえば、彼とじいさまが話しているところを初めて見る。
見合いの時、彼は一切話さなかったから。
「そうそう。亜依さんが湖陵に入るって話しを進めようと思ってな」