彼と愛のレベル上げ
「ところで主任はなんだったの?」
「あ、それが……」
あの後、私が家に着いた頃にちょうど主任から電話があった。
あの時本当に仕事中で、次の日までに仕上げなければいけない書類を作ってたらしい。
「誤解もしくは桃ちゃんの早とちり?」
「……ハイ」
どうしてわかっちゃうんだろう。
でも、あんなことぐらいですぐに疑う私って…どうなんだろう。
「どうせそうだろうと思ってたけどね?そんなに不安なら婚約でもしちゃえば?」
は?!婚約でもって
何言っっちゃってるんですか、望亜奈さんっ
「婚約って、結婚する人がするんですよ?」
「知ってるわよ?だから何?」
何って。
「だって、主任にプロポーズされてませんけど」
「はぁああああ?何言ってんの桃ちゃん。」
何って。
何言ってんのって言いたいのは、私のほうで。
「私は見てないけどさ、指輪くれたんでしょ?主任とおそろいの。それ、主任はちゃんと今もしてるんでしょ?」
「…たぶん、そうだと思いますけど」
「それに、誰の家に住んでんのよ、桃ちゃん」
誰って。
主任の家で。
指輪も私は指ではないけど首からかけてる。
「どうしてそれで結婚?」
「……あの強引で策略家の主任も、桃ちゃんにかかるとダメか」
強引で策略家は認めますけど。
私にかかるとダメって、それ逆でしょう?
「あの……?」
「桃ちゃんの話によればよ。主任は何度かしてると思うわよ?プロポーズ。」
「え?あ、はい?……何度か?」
あきれたって顔の望亜奈さん。
いやいや、わからないものはわからないんです。
それともなんですか?望亜奈さん経由でされたとか?
「私は聞いてないからね。桃ちゃんからの話ししか。だけど主任も悪いのよね、相手は桃ちゃんなんだから直接的な表現じゃなきゃわかんないわよね?」
直接的な表現って。
いわゆる『結婚してください』ってあれ?
ないない。
私なんかが主任から結婚を申し込まれるなんて事あるわけがない