彼と愛のレベル上げ
お婆様にご挨拶をし、近くの神社でお参りをする。

近所とはいえ、さすがに一日は人が多い。

はぐれないようにしっかりと手を繋ぎ順番を待つ。


チャリン――――

お賽銭を入れ、手を合わせ神様にお願いをする。

来年も再来年も、ずっとジュンさんの側に居られますように

あ、あと、修行頑張るのでよろしくお願いします。

それと……

ジュンさんと結婚できますように


願い事が多すぎて神様呆れてるかもしれない。


「随分と熱心にお願いしてましたね?」

「え、そんなに長かったですか?」

「短くはなかったですね」


やっぱりちょっと長かったのか。

何個もお願いしてたからなぁ。


「……あんまりお願いすると神様も困っちゃいますよね?」

「そんなにですか?」

「え?ジュンさんは一つなんですか?」


こんなこと、聞くものじゃないのかも知れない。

だけどどんなお願いをしたのかも気になる。


「ええ、一つですよ。モモと結婚できますようにと」


ジュンさんの中でその願いを一番にしてくれた事が嬉しい。


「えと?それだけ?ですか?」

「ええ。他には何も要りません」


穏やかな表情で言うジュンさんに心が温かくなった。

ますます修行頑張るんだっていう気持ちがわいてくる。




おみくじを引くとやっぱり…


「中吉ですか」

「はい、あの?ジュンさんは?」

「今年はいいです」


確か去年は大吉だったんだよね。

あれで私が結構落ち込んじゃったから?かな?


「さて、お参りも終わったし帰りますか」

「はいっ」


そのまま手を繋ぎ家まで帰った。

こういうのんびりしたお正月もいいなぁ。


「あぁ忘れてました。明日、母たちがこちらに来るようですよ?」

「えええええ?!」

「昨年、モモに会えなかったのが随分と心残りだからと」

「あのっ、それ、いつ決まったんですか?」

「こちらに来る前に電話をもらったのでモモのご両親にもお伝えしてあります。明日夕飯を一緒にするようにホテルも手配しましたから」


あいかわらずの事後報告のジュンさんに、


「だからそういうことは言ってくださいって何度も言ってるじゃないですか?!」


そう叫んで慌てて自室に駆け込み、私は明日の服を選びはじめた。
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