ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間



「あ、関口さん!
やっぱ関口さんだったんだぁ!
さっき映画館で似てるなぁって
思ったんですけどぉ、
離れてたから人違いだと恥ずかしいしぃ、
それに…彼女さん? もいるじゃないですかぁ。
だから、声掛けなかったんですよぉ~」  



「なんだぁ、 気にせず声掛けてくれればよかったのに。 お~い、沙希、こっち来いよ。」  


何も知らずにハシャいで叫ぶハチ。
ええ、ええ。言われなくても行きますとも。  



「彼女は俺と同じ部署の大和さん。
あ、大和…部長ですよね?
あの、これから沙希がお世話になります。
ん?…あれ、お二人はご兄弟ですか?
いや~、知らず知らずに繋がりがあるなんて…
こんな偶然なんて、あるもんなんですね。」  



「大和です。
こちらこそ妹の由紀恵がお世話になってます。
甘やかして育ったもんですから、
ご迷惑お掛けするかもしれませんが
宜しくお願いします。」  



「もぉ~、お兄ちゃん、やめてよ。
何でいつも甘えん坊っていうのぉ~?
私だって、ちゃんと働いてるんだからぁ。」


私の心情を無視して、勝手に輪ができている。
それにしても、なんてことだ。
シェパードの妹とハチが会社の同僚だったなんて…  


それに、ちょっと引っ掛かる。
この子、なんか違う……
っていうか、ちょっと苦手だ。


若いからだけじゃない。
このブリブリ具合からしてちょっと匂う、いやプンプン匂う。
男の目は騙せても、女の感が黙ってはいない。  


舌っ足らずな口調、ジッと見つめる上目づかい、そして無駄に多いボディータッチ。



この子、ただの子猫じゃない…… 泥棒猫だ。



しかも、さっきからハチを見る眼がどうも怪しい。





 
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