ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
「はじめましてぇ、大和由紀恵ですぅ。
関口さんにはいつもお世話になっています。
でも、ほんっと奇遇ですよねぇ、
お兄ちゃんと同じ部署の沙希さんが
関口さんの彼女さんなんてぇ…」
「こちらこそ、よろしくお願いします。
こういう偶然ってあるんですね」
敢えて大人らしい対応で返した。
単なる偶然にブリブリのノリで返すほど、若くはないしね。
「関口さん、
すごい綺麗な彼女さんじゃないですかぁ。
肌とかすごい綺麗だしぃ…」
見え透いた社交辞令がウザい。
だけど、あからさまに毛嫌うのも大人気ないだろう。
謙遜しながら、愛想笑いを浮かべた。
「なんかぁ~、
関口さんにはもったいない…
ほんと、綺麗ですよねぇ」
馴れ馴れしくハチを肘でつついている。
私のハチに勝手に触るんじゃない。
「わたしぃ、
沙希さんみたいな大人の女性?
って理想なんですよねぇ
見た目もそうですけど、
それよりも大人な女性ってのが
内面から出てる感じがしてぇ…」
内面から? 自分は若いって言いたいんだろうか?
できるなら、声を大にして言ってやりたい。
明日は我が身だ、と。
「そうかなぁ。
でも、そういう大和さんも綺麗だし、
大人っぽいと思うけどなぁ。」
デレデレと鼻の下を伸ばすハチ。
このブリブリ子猫のどこが大人な感じがするっていうの?
敵将になびくは切腹ものの重罪だぞ。
「はは、元気が取り柄なだけだけどな。」
「もぉ~、お兄ちゃんは黙っててっ」
茶化すシェパードに子猫が膨れてみせる。
と思いきや、突如、名案を思いついたかのように子猫が手を叩いた。
嫌な予感がした。
「あ、そうだ!
この後、皆で食事でもどうですかぁ?」