ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間



一人残された私も暇なわけじゃない。
ブルの指令への算段を考えなくちゃね。  
何とかシェパードの家に行って写真を撮られなくてはならない。


でも、どうしても腑に落ちない。
何で写真を撮られなきゃならないんだろう?
しかも彼の部屋でなんて…


要は情報の漏えいに関与していないか調べるキッカケを作ればいいだけなのに。
他に手はいくらでもあるはずだ。


机の中に書類を忍ばせるとか…いろいろありそうなものだけど。
やっぱり、どう考えても浅はかでくだらない。


まぁ、あれこれ詮索するのはよそう。
指令を全うすれはいいんだ。
私にはそれ以上の責任も義務もない。  
とりあえず、しばらくは様子を見て考えることにした。


子猫の話が本当なら、シェパードには彼女はいない。
自宅まで行って隙を見てやれば、そう難しいことじゃないかもしれない。
まぁ、何とかなるんじゃないかな。  


それにしても、あの子猫が引っ掛かる。
邪魔をしてくれなければいいけど…


あと、ハチを見る眼も怪しかった。
いるんだよなぁ……人のものだと異常に欲しがる猫が。


と思ったその時だった。
携帯のライン着信を知らせる音がなる。
見ると、  



《大和由紀恵さんが友達になりました》  


と画面に表示されている。


子猫だった。
噂はしてなかったが、あまりのタイミングにゾッとした。無視することもできないと友達登録して、ラインを返す。  

《これから宜しくお願いします》  


送るとすぐに既読になり、返信があった。  


《沙希さんと出会えて、今日はいい日でした!
これから仲良くしてください!》    


何てことない文面だが、意味ありげに考えてしまうのは子猫だからだろうか。
何にせよ、こっちも警戒が必要だろう。
手塩にかけて育てたハチを奪われるなんてことがあってはならない。


風雲急を告げて慌ただしくなった状況を考えると、ほんとに頭痛がしてきた。
ハチが起こしてくれるまで少し休もう。


来週は何かと忙しいだろうから……  



< 35 / 153 >

この作品をシェア

pagetop