エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
翔さんはいたって普通の顔をして淡々と語るけど、悲しくなかったわけがない。


「大丈夫、ですか?」
「うん。ありがと。そりゃあ亡くなったばかりのときは……」


彼は言葉を濁し「ふー」と大きなため息をつく。


「無理に話さなくてもいいんですよ」
「ううん。砂羽には知っていてもらいたいから。……正直、亡くなったばかりのときは落ち込んだ。実は、デザインを始めたのも母の影響というか、体が弱くて入院がちだった母におしゃれを楽しませてあげたかったんだ。些細なことなんだけどね」
「そうだったんですね」


素晴らしい親孝行だ。

たしかに入院生活は気が滅入りそうだし、そんな中でも素敵な洋服に出会えたら、テンションも上がるだろう。

ましてや自分の息子が心を込めて作ってくれたものなのだからひとしおだ。


「そう。だからうちでは、パジャマも作ってる」


なるほど。下着やパジャマは、そういう理由で作っているんだ。
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