エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「稲田美奈絵ですか……。お調べしますね」


受付嬢は社員名簿を取り出したが、私は首を振った。


「昨日か今日、入社したばかりの人なんです」
「あっ、秘書室に入った人じゃない?」


そのとき、ふたりいる受付嬢のうちの片方が小声でもうひとりに話しかけている。


「その方だと思います」


私が食いつくと、受付嬢はうなずいた。


「それでは確認してみますので、少々お待ちください」


受付嬢が受話器を手に内線をかけ始めるのをドキドキしながら見ていた。


「そちらに稲田さんは——。峰岸織物の峰岸さまがお越しです。サンプルをお持ちになったとおっしゃっているのですが。——はい」


やっぱりいた。
しかし、簡単に出てきてくれるとは思っていない。


「かしこまりました。そうお伝えします」


電話を切った受付嬢は「申し訳ありません」と私に頭を下げる。
やっぱりダメだったか。
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