エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「稲田はたしかに秘書室に勤務しております。ですが、サンプルは頼んでいないと言っておりまして……」
「あれ、バタバタしていてお忘れになったんでしょうか? それならもう一度お話しますので、アポイントを——」
「峰岸さまにお会いするつもりはないと言っております」


冷や汗をかきながら嘘を並べたが、先手を打たれてしまった。


「そう、ですか。お手数をおかけしました」


私は頭を下げ、一旦マルグリットを出た。

だけど引き下がるつもりはない。
絶対にデザイン画を返してもらう。

私は玄関を出たところで待つことにした。


稲田さんは、どうしてブランピュールの情報を持ってマルグリットに来たんだろう。
ブランピュールに不満があったのだろうか。

彼女は立ち上げ当初からいた社員で、ずっと営業戦略に携わっていたんだとか。

そんな彼女の手腕を高く評価した翔さんが、二年前に商品開発の責任者に抜擢して、重要な案件を一緒に乗り越えてきたと話してくれた。
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