エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
とんでもないことを言いだした翔さんに驚き聞き返すと、「砂羽が一番美しく見える色や柄を知ってる」とつぶやく。


「そう、ですか?」
「うん。よく似合ってる。でも、洋服なら負けない」


彼はニッと笑う。


「あはは」


彼は時々、私だけのためにデザインした洋服をプレゼントしてくれる。
それがどれだけ贅沢なことかわかっているつもり。

たくさんの人にこんなに気にかけてもらえて、私はとんだ幸せ者だ。


そして、いよいよ出発。
彼の運転する車は、比較的空いている道を進んでいく。


「緊張してる?」
「はい……」


翔さんの実家は高級住宅街にあるという。

そこに向かうまでの四十分、緊張のあまり車内でなにも話せなくなってしまった私を、ハンドルを握る彼が気遣ってくれる。


「正直、十八で実家を出てからほとんど帰ることもなくて、父と会うのは二年ぶりなんだ。母の葬儀のときに会ったっきりで」
「そうなんですか?」
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