エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
なにか言いたいのに、びっくりしすぎてそれしか出てこない。
営業しているとき、反応が決してよかったわけではないからだ。


「なんだよ。もっと喜びなよ」


橋さんに指摘されて我に返り、一気に喜びがあふれてくる。


「すごい!」


それでも興奮のあまり、それしか言葉が出てこない。
母がうまく話せなかった理由がわかった。

これは夢? 
橋さんの言う通り、コストが高く職人の腕ひとつで品質が大きく左右される綴織緞帳は、もしかしたらもうこのまま廃れてしまうのではないかと、どこかで覚悟をしていた。

父もどこかで緞帳の需要があると聞けば、遠くても足を運んで営業していたし、受け継いだ私もそうしてきた。

でも、ここ十年近く一枚も作っていない。


「どうやら、ブランピュールの洋服に使っているうちの布の噂を聞いたみたいでね。峰岸織物なら間違いないだろうって。これで一層、うちの品質のよさが伝わる」
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