エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
母の声が涙声に変わり、私まで瞳が潤んできた。
ここまでの道のりが決して平たんではなかったので、余計に感動的だ。


「砂羽のおかげだよ。砂羽が必死に頑張ってくれたから……」
「ううん。皆が踏ん張ったんだよ」
「そうね」


母の頬に一粒の涙が伝ったのを見たとき、ようやく母は重い荷物を下ろせたのではないかと感じた。


「一ノ瀬さんにもお礼言わなくちゃ」


母がそう言うので私はうなずく。


「うん。今日は一日外回りみたいだから、忙しいはずなの。帰ったらすぐに伝えるね」


今は彼の仕事を邪魔できない。
私はウキウキした気分で、早速カルチャーセンターへお礼の訪問に向かった。



「ただいま」
「おかえりなさい!」


その晩、二十時すぎに帰ってきた翔さんに玄関でふわっと抱きついた。


「お、濃厚なお出迎えありがと。キスのおねだりかな?」
「ち、違いますっ」


とんでもない勘違いをされ、アタフタしてしまう。
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