エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
その陣頭指揮を執る橋さんは、緞帳を作るだけでなく、自分が年老いたあとの後継者を育てたいと、さらに未来を見ていてくれてありがたい。

この先も峰岸織物が続いていくという希望だけはいつなんときも捨てたくはない。


そんなふうに緞帳作りを開始して一カ月。
翔さんと一緒に夕食を食べていると、彼の携帯が鳴った。


「ちょっとごめん」


翔さんは席を立ち、ソファのほうに歩いていき電話に出ている。


「翔です。なにか?」


彼が一瞬顔をしかめた気がして、なんとなく気になる。


「——わかり、ました。それでは伺います」


しばらくなにやら会話を交わしたあと、通話は終わった。


「お仕事ですか?」


戻ってきた彼に尋ねると、首を振る。


「兄貴だった」


重人さん?


「どうかされたんですか?」
「一番上の兄貴がしばらくアメリカに行っていたんだけど、帰国するらしくて、皆で飯を食べようって」


なんだ、そんなことか。
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